Never

シカゴ在住のアーティスト、Katelyn Eichwaldによるアーティストブック「Never」。ニューヨークのギャラリーFortnite Instituteで昨年開催された同名の展示に合わせて発行された一冊。彼女がビジュアル・リファレンスとして収集している映画のスクリーンショットをセレクトしてまとめたもの。Instagramでたまたま見つけてフォローしていたアーティストで、いつか作品を観たいなーと思いながら、せめてもの気持ちで本を買ったのだった。

おそらく複数の映画から切り取られたシーンの断片が並ぶ。キャプションやテキストが一切載っていないこの本は、彼女の作品を立体的に読み解くための、言わば3Dメガネといったところだろうか。積極的に誤読を誘うような企図が面白いなと思いつつ、キャンプに行く予定もないのにキャンプ道具揃えちゃったような、空回りした気持ちを抱いていると、Misako&Rosenの年明け最初の展示になんと彼女の名前が。早速観に行く。

小さいサイズのペインティング3点。思っていたよりも浅いタッチの油彩。どことなく不穏なムード、何か起こりそうな気配があるけれど、静かな画面は牧歌的で、見ていて穏やかな心持ちになる。描かれている具体的な光景は、何かの象徴としてではなく、あちこちに飛び交う意識の止まり木のように見えてくる。(この作品がそうだというより、自分がそういう風に”絵”を見てしまう傾向があるだけかもしれない。)

ミサコさんに聞くと、ジェフリーさんもインスタで彼女の作品を見つけたそうで、zoomでスタジオビジットして、展示の準備を進めたんだとか。今回の展示「Portals」は、”もし、Misako&Rosenがオープンしたのが2022年だったら、こんな感じの展示になるかも?”というアイデアで始まったそう。ヤングでエマージングな画家たちとの(想像の)第一歩。Katelyn Eichwaldの他、杉原玲那、Dominique Knowles、Elza Sileの作品も良かった。

ak.

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